石見グランフォンド参戦記
2008.5.10
前日〜スタートまで
  前日の夜、石見グランフォンドのための準備をしている最中、雨が降り始めた。結構大粒の雨のような音。やはり石見ライド01,02同様この大会は雨が降るのか〜と少々ブルーになる。ちょっと前までの天気予報では二日とも晴れだったのに、急にこんなことになるなんて・・・。まあ、01,02とも雨の中でも普通に開催されていたので、逆に、これも仕方ないか!と開き直る自分がいた。サイクル用のジャージを半そでにするか長袖にするか迷っていた。雨の中でも相当きついコースなので、すぐに暑くなるかな?という気持ちもあったし、でも気温も下がるかもしれないしな〜という気持ちもあり、なかなか決心がつかなかった。そこで、雨の強かった01大会の時の写真を見ることに、その写真には長ズボンに長袖、そして、レインスーツ姿の自分が写っていた。この写真を見て、よし、これと同じで行こうと決めた。
 朝6時から受付開始という案内だったので、その時刻までには着きたいと思い、益田を5時ごろに出発した。この時間はあまり雨も降らず、これならなんとかなるかな?という希望を持っていた。浜田でトライヤルという激安のお店に入り、ウイダー3個、カロリーメイト1個、やスポーツ飲料2本を購入した。エイドステーションの間隔が結構あるので、途中の補給食用としてしっかり持っていかないとへばってしまうのだ。普段はいっぱいあるウイダーが普通陳列してある場所は売り切れになっていた。先客が購入していったのか、ただ単なる偶然なのか・・・は定かではない。あせってよく探してみると、別の場所にあり、それを購入した。よかった〜。
 会場であるアクアスに6時ごろに到着。まだ駐車場にはポツポツと車があるといった状況。車の中で準備をして外に出る。やはり長袖で正解といった気温。駐車場にはすでにYoshiさんやヒヨッコさんなどの姿が見えた。
   

アクアスのテントに行き、受付。ゼッケンをもらったり、荷物を預けたりした。そうこうしているうちに、えこにんさん、仙人さん、Kojiさんなどが現れる。みんなこの天候に半分あきらめ、半分開き直りといった雰囲気をだたよわせていた。この天候は恒例になったようだ。
 Kojiさんのご近所から出場の75歳のおじいちゃんもいた。すごい!自転車も7段変速のちょっと前のロード?01,02大会を経験している私としては、あの壮絶なコース大丈夫かな〜という気持ちもあったが、「がんばってください」というエールを送った。ブリーフィングが始まり、コースの説明。さすがに試走会で走っただけ今までのブリーフィングよりもコースや注意地点などのイメージがしやすかった。

スタート〜第1エイドステーション
 いよいよスタート。Kojiさんと同じぐらいの位置についてスタートした。
えこにんさん撮影 雨バージョン・・重装備だ〜  
スタート間隔は10秒ぐらい。少し行くと自然と追いつき、同じぐらいのペースで進む。、ブリーフィングで注意するよう説明のあった舗装をはがしている箇所に来た。パンクをしないよう祈りながら進む。石見ライド01はパンクによって私の中では壮絶な大会として伝説化しているが、今回も同じように雨。この雨の中でのパンクは正直きつい。
 えこにんさんが「金城のモワイ」と呼んでいる幻の広浜鉄道跡の橋脚(だけ)が何箇所か見える。天気がよければ、デジカメでパチリと行きたいのだが、今日は雨なので、ただひたすら先を進む。曲がり角にはブリーフィングのときに説明のあった白線で曲がる方向をしめしてあった。ちょっと遠慮がちに書いてあるようでこの雨なら消えるかも?とやや不安になる。ただ、今回は青い幟が曲がる方向に立ててあるという二重の措置がしてあったので助かった。最初のエイドステーションまで34キロの道のり。後ろのタイヤを交換し、ちょっといいやつにしたせいかなんとなく軽く進むような気がした。(そうでも思わんと交換した意味がなくなるんで・・・)
 
 最初のエイドステーションである浜田市旭支所に到着。「お疲れ様〜速いですねえ」の声。ボランティアで参加している知り合いのHさんとMさんに声をかけていただく。こうした方々がいてくれるから、このイベントも開催できるのだ。感謝、感謝。声をかけてもらい、元気が出る。いつものように地図にチェック。恒例のサイン数え。(私の到着以前に何人の人が到着しているかを数えることで、現在の順位を確認できるのだ)このイベントは競技会ではないので、順位が上位だろうが特別な表彰など全くないので自己満足意外のなにものでもないのだけれど、なんとなく毎回意識してしまう。まあ、一つの目標ということでお許しを。結果13位という着順。まずまず。ここで、バナナなどの補給食をいただく。雨のため、体が冷え、じっとしていると寒くなるので、さっさとエイドステーションを出発した。

第1エイドステーション〜第2エイドステーション
 今回のブリーフィングでは、そういう注意はなかったのだが、以前の石見ライドの時には、「走行中、ぼーっとして集中力がなくなることがあるので、常に意識をしっかりして安全運転に心がけてほしい」というようなことを言っていた。それを聞いた時には、そんな馬鹿なことがあるのだろうか?自転車を運転しながらボーっとするなんて?と思っていたのだが、今回のこの雨、そして、ただ寒さに耐えるような走行時に、なんとなく、集中が途切れ、無意識の中を走っている時間帯があった。これがまさに、ぼーっとした走行なのだと気がつき、あわてて気持ちを切り替えて走る。次のエイドステーションまで48キロという結構長いコース。ウイダーなどをところどころで飲みながら、走る。それにしても寒い。
 本日の最初の難関、「大利峠」7キロぐらいずっと上りが続く三瓶にも匹敵する箇所だ。3月の試走会の時に、一緒に走った男前さんが「殺す気か〜」といいながら峠にゴールした姿を思い出す。あの時は天気もよかったし、80%ぐらいの走りで来ていたので、きついのはきつかったけれど、それほどまでとは感じなかったのだが、今回は本当にまいった。雨で体力も消耗しているし、そこまで力を出し切るような走りをしてきていたので、同じ坂とは思えないほどきつかった。この峠で何人にも抜かれ最後に土砂崩れ対策のトンネルがあるのを覚えていたのだが、そのトンネルが曲がっても曲がっても出てこない。よたよたと走り続け、やっとトンネルとご対面。あの時同様、大利峠峠から下界を見下ろすためにロードバイクをいったん降り、ここで写真。「あ〜きつかった」試走会の時は、この後ご褒美の下りだったのだが、今回は、この下りが曲者。ご褒美にならないのだ。何といっても寒い。路面もぬれているのでスピードを出すと転倒する恐れもあるので、ブレーキをかけながら下るのだが、寒さで体は震えるし、手はかじかみ、力がなかなか入らない状態。それでもブレーキを必死になって握りスピードをコントロールして下った。
 日和トンネルに入る。このトンネル全長2485mという長さ。少し前まで農道トンネルとしては日本一長かったらしい。トンネルの中はあたたかく、結構快適。こんな気持ちになるのは初めて。普段は、トンネルはいやでたまらない箇所なのだが、今日は別。それにしても、出口は見えているのに、なかなかたどりつけない不思議な感覚だ。
  
 第2エイドステーション。道の駅瑞穂に到着。大利峠で抜かされたので、21人目のサインだった。ここで、あたたかいお茶をいただく。これがありがたかった。補給食として置いてあったバナナも何個でも食べられるほど。そうとうエネルギーを消耗しているのだろう。トイレに行って戻ってみると、Yoshiさんと出会う。絶対私より先に行っていると思っていたのにちょっと意外だった。まあ、毎Yoshiさん日自転車通勤で30キロ走っているYoshiさんは後半ぶっちぎって走るのは目に見えているのだが・・・・試走会の時すごかった!。えこにんさんとも遭遇。1日目はカメラマンとして参加といKojiさんうことだ。確かにこのコースを走ると、治りかけている膝がまた、めげるのでやめて正解だと思う。Kojiさんも到着。カメラを向けるとガッツポーズ。まだまだ元気があるKojiさん。
 第2エイドステーションを出発。ブリーフィングにもあったが、出発してすぐに右折するという指示があったが、この右折はちょっと分かりづらかった。前の人が右折をしたので、間違えずに進むことができたが、もし、一人だったら、きっと間違えていたはず。益田から参加のYoshiさんは、この右折ができず、間違えてUターンしたそうだ。(Yoshiさんレポートより)  
 
第2エイドステーション〜第4エイドステーション
 益田の人間・・・いや私だけだと思うが、実は同じ島根県人として恥ずかしいのだけれども、どうも、この瑞穂とか羽須美、大和などの山間部の土地勘がないというのが正直なところ。海岸線は仕事の関係でよく行き来をするのだが、こちらの方はほとんど来たことがないので、どうもピンとこないのだ。場所を言われても北なのか、南なのかよく分からないのだ。標識を見ても、同様。ただただ、コースを外れないことを祈って、ひたすら次のエイドステーションに向かう。先ほども書いたが雨なので、よけい無心で進んでしまうのだ。途中から江の川が見えその左岸を走る。この道がほどよく狭くいい感じだった。
 118キロ地点の第3エイドステーション グリーンロード大和に到着。13:30。ここで待望の弁当。今年は体力の消耗が激しいようで、どうもお腹が空く。到着してすぐにチェックするのだが、手の感覚がなく、スタッフの方に手伝ってもらいチェック。人数を確認21番目か23番目・・・だった。すでに順位のことなどどうでもよくなってきつつあったので、記憶も定かではない。本日の目標はとにかく完走ということ。この壮絶さ、完走だけでもすごいことだとだんだんと分かってきた。お弁当とスープをさきほどのMさんとHさんから受け取り(移動しながらのボランティア・・ご苦労さまです)、テントの下で食べる。隣に座った人と焚き火がほしいねえなどと話す。どうにも寒いので、お店に入って、缶コーヒーのホットを購入して飲む。
 えこにんさん撮影 えこにんさん撮影 

 えこにんさん撮影 
 メカニックの方がいたので、今日は雨なのでパンクが多いでしょう?と話しかけてみたが、本日まだパンクの修理は0とのこと。昨年はこの時間には相当パンクがあったというのだが・・・これだけの雨でパンクが少ないのはちょっと不思議な感じがした。幸い私も今のところパンクしていない。今年はこのまま、パンクなしで走りきりたいものだ。私が出発するころにYoshiさんやKojiさんも到着。私も含め、みなさん、こんな雨の中、よく走っているなあ〜と感心、他の人から見ると本当に不思議な集団だろうなあ。75歳のおじいちゃんはどうしてるだろう?と心配になる。(あとでKojiさんより聞いたことだが、あのおじいちゃんは第1エイドステーションで寒さのためリタイヤされたとのこと。無事でなりより)
えこにんさん撮影   

 
 江の川沿いの道を進む。前回までの道と違い浜原ダム付近は反対側の道がコースになっている。これはありがたかった。石見ライド01の時は、浜原ダムの横の旧道で結構道のコンディションが悪い箇所でパンクをしたので、今回、その道を通らないというので少しほっとした。あの悪夢はもう経験したくない。今回の道の方がダム湖もしっかり見えていいコースだ。手がかじかみながらも、以前パンクした思い出のダムなので、写真を撮っておいた。三瓶へ上れるか、ショートカットかの関門である第4エイドステーションであるJR浜原駅に14:37に到着。
   
 三瓶へ上れるタイムリミットは15:30だ。スタッフの方が、「上りますか、ショートカットにしますか?」という質問をしてくる。不思議に思ったが、あまりの寒さに制限時間内でもショートカットを選ぶ人が結構いるのだという。私は、当然三瓶のコースを選ぶ。ここの補給食は、バナナ、キーウイ、オレンジ、そして柏餅が・・・ありがたい。ウイダーが切れたので、バナナを丸ごと一本いただき、フレームにつけているバックに入れて出発した。えこにんさんのようにヘルメットにつける勇気はなかったが・・・・。
 三瓶に向けて出発。 

三瓶〜ゴール
 三瓶へのヒルクライムコースとショートカットコースの分岐点などの地図がテーブルの上に大きく表示してあったので、しっかりと頭に入れ、スタートした。いよいよ三瓶だ。グリーンロード大和の昼食時。今年のコースは旅館街を通らない比較的素直なコースということを教えていただいた。その時に、今年はそれほどきつくないよ、ということも・・・・。しかし、昨年最もきつくて足がつったあの道は通るのは分かっていたので、その情報に思わず、「うそうそ、すごいきつい坂が待ってるよ」と反論してしまった。
 最初、まっすぐな道をだらだらと上っていく。激坂のあのきつさはないが、じわりじわりと体力を奪っていくそんな感覚になる。雨のため寒さは相変わらずで、途中にあった温度計は8度をさしていた。
 旅館街を通らずにそのまままっすぐに進む。そして、いよいよ昨年太ももがつってしまい、じぐざぐ走法をしたり、一度ロードバイクを降りてストレッチをしたりしたあの坂に来た。昨年は師匠とあおいでいるIさんにここで、抜かれたというようなことも思い出した。(今年はIさんの姿を見ていないような・・・・)今年は雨だからなのか、きつくても筋肉がつることはなかった。(つったときには水をかけるとおさまることがある)この坂を上るころには、もうまったく順位などどうでもよくなっていたので、マイペースで上ったのがよかったのかも。速度計を見るとなんと、5km/hをさしているではないか。これは歩くよりも遅いかも・・・。よくこけずに上っていると我ながら感心してしまった。ひたすら耐え忍びながら坂を進み、どうにか東の原。この辺りだったと思うがYoshiさんたち数名に抜かれたが、もう、ついて行く体力はなく、どんどん離れていく後姿・・・。あ〜。ここだったか、温度計は6度をさしていた。その後は下りかと思ったが、いくつかのアップダウンで更に体力を消耗。やっとのことで最後のエイドステーションである三瓶北の原に到着。ここで、しっかりビスケットを食べる。あとで聞いた話だと、三瓶に上った人は40名ぐらいということだった。それだけ過酷だったのだ。
 ここを出ると後はほとんどが下りということだ。昨年も通っている道、三瓶ダムあたりで写真を撮ったことを思い出した。今年は、雨と寒さのためと、デジカメのレンズが曇ってしまったため、そんなこともせず、ただただゴールへ向かった。とにかく寒かった。震えて本当に歯ががちがち言うくらい。「う〜あ〜」というへんなうなり声をあげながら(寒さのため自然に口から出た)下った。大田の町からゴールへ向かう道ですでにゴールして大田のホテルに向かう人たちとすれ違う。そして、ついにゴール。感激のゴール・・・・という感じではなくやっとついた〜。という感覚。完走証のステッカーをいただく。そして、うれしい豚汁。寒さに震える手でそれを受け取り、おいしくいただいた。普通、あたたかいものをお腹に入れると振るえは収まるものだが、この時は違った。2杯食べてもまだ震えているという状態。本当に冷え切っていたのだ。
  
 その後、荷物を受け取り、久手駅へ向かう。ここで、ガリレオを分解し、輪行してアクアス近くの波子駅まで帰らなくてはならないのだ。今日の雨を見越して一式着替えをもってきていたので、駅の待合室でパンツから何から全部着替えをした。田舎の駅だからできる芸当。都会の駅でこれをやったら通報されるかも・・・。ぬれた服から乾いた服に着替えた辺りからやっと震えも収まり、落ち着いた。浜田に向かう列車までには結構時間があった。列車の中もただ疲れのためにぼーっとしたり、時々寝たりしていた。
   
 波子駅に到着したら、輪行バックに自転車をいれている人が・・・「今日、走られたんですか?」と聞くと、「いえ、明日走ります」とのこと。今日はどうだったのか、を聞かれ、「むちゃくちゃ寒かったですよ」と答えた。その時の正直な感想だったのだ。駅で再びガリレオを組み立ててアクアスへ向かう。
 それにしても、壮絶な1日だった。
 1日目の大会データ5月10日(土)
 エントリー数 180名
 出走数    163名
 完走者数   113名
 リタイア数   50名
ということだった。リタイヤ数50名とい人数がこの日のすさまじさを証明していると思う。伝説の大会となるかも・・・。
 個人のデータ
 走行距離 173.54km
 平均速度 19.9km/h
 最高速度 57.5km/h
 最高心拍数 186

 まあ、賛否両論あると思うが、こういう過酷な大会もあっていいように思う。スタッフのみなさん、ボランティアのみなさん、参加して共に走ったみなさんに感謝。今年の石見グランフォンドの1日目はきつかったけど、そんなきついコースを走りきったという達成感が今頃になってじわりじわりとにじんできている。
チーム
寺子屋

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